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2010年4月

2010/04/16

シャッター・アイランド(Shutter Island)

(ネタバレしています。注意!)
デニス・ルヘイン原作、深い心理描写に酔う!(ミスティックリバーとの共通点と相違点)

Shutterisland1  まず、デニス・ルヘイン原作、といえば思い出すのが「ミスティック・リバー」。殺人事件の犯人は誰なのか、怪しいと思わせて最後に違う犯人を種明かしさせた。そのどんでん返しはミステリーの王道でもあるのだけれど、彼の作品の特徴は、読者に(観客に)犯人だと思わせた人物の心理に深く迫っている点でもある。しかし、そこに、単なる謎解きゲームではない彼のミステリー小説の面白さがある。ゆえに映画化にあたっては、その心理をうまく演じられる演技派俳優が重要となる。ティム・ロビンス、ショーン・ペン、マーシャ・ゲイ・ハーデンでなければ傑作たりえなかっただろう。

Shutterisland3  そう考えると、今回の作品「シャッター・アイランド」もその延長線上であることは確かだ。殺人事件の犯人も冒頭で思わせていた人物とは異なるし、何より主人公の立場そのものが冒頭の設定とは異なっている。ましてや今回は、精神疾患という犯人(この言葉が適切かどうかは悩むが、とりあえずこう表現しておく)を用意してきた。ただ今回は、真犯人と思われる人物が始めから画面で匂わされるので、犯人探しの面白さはないかもしれない。主人公の過去に何かあるんだ、と冒頭から何度も見せられるからだ。だから映画の観点は、その心理をどう表現するのか、また犯人と知っていて対応する登場人物たちの演技力・表現力が重要となる。そういう点では、レオナルド・ディカプリオ、ベン・キングズレー、マーク・ラファロの演技は、「ミスティック・リバー」の3人に負けるとも劣らない演技だったと思う。
Shutterisland2  ディカプリオの演じるエドワード・ダニエルズ、幻想と真実が混ぜこぜになった過去のフラッシュバックに何度も悩まされ続ける。本人が話す過去とフラッシュバックとの不整合さに、見る側は頭を悩まし続けることになるが、その不整合さこそが後の種明かしにつながっていくという展開は見事だ。いつものディカプリオ(まっすぐに走り続ける演技)とは違い、立ち止まり、時には後戻りするという、複雑な行動を、繊細に表現していたと思う。
 その主人公の敵なのか味方なのか最後まで観客を惑わせるベン・キングズレーの演じるジョン・コーリー医師。謎めいた雰囲気を最後まで見せ切った演技力に感服。怪しさ満点。
 また、さりげなく近くで支える相棒、マーク・ラファロの演じるチャック・オール。マーク・ラファロ独特の、易しそうで優柔不断そうなアンニュイな雰囲気が、上記二人の間に立ち、いい味出していたと思う。あえて言えば、彼の演技が一番難しいと思うのだが、どうだろう。私は最後まで彼の正体を見極められなかった。

 心理描写が見事である映画である、というのは、最後の主人公のセリフにもよく表れている。「モンスターとして死ぬか、善人として生きるか」というセリフだが、この問の後にチャックが「テディ(エドワードの愛称)」と声をかけても返事をしなかった場面がある。これは、彼が「モンスターとして死ぬ」すなわち、自らが幸せでいられるのは幻想の中であり、現実ではないということ、なのだろう。ミスティック・リバーでは現実を受け入れて、過去を背負って生きる辛さを表していたが、今回はその逆。それもまた、人生なのだろう。

 最後にもう一言。名前のアナグラムで種明かしは面白い。アナグラム(anagram)とは、文字を並べ替えて別の単語を作ること。

Edward Daniels → Andrew Laeddis
(テディ)    (レディス)

Rachel Solando → Dolores Chanel
(レイチェル)  (ドロレス)

これは見抜けなかったねえ、上手い! さすがデニス・ルヘイン。

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