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2010/01/16

パブリック・エネミーズ(Public Enemies)

確かにデリンジャーの伝記なんだけど、、、

Publicenemies1  世間の敵(public enemy)と言わしめた、大恐慌時代の銀行強盗、ジョン・デリンジャーを描いた作品です。当代きっての美男子ジョニー・デップが主演、ということで、ギャング映画にもかかわらず女性客が多い、という不思議な空間の中で観賞しました。
 実は、観賞してから随分たって、このレビューを書いています。というのも、この映画をどう評価していいのか、非常に迷ったからです。見てから2週間ほどして、やっと私的評価ができましたので、レビューをアップします。

 監督のマイケル・マンは、デリンジャーの生涯に余計な味付けを加えず、過剰な演出を排除し、強盗、そして逃亡、銃撃戦、仲間の死、そういった事件を淡々と描こうとしたそうです。恋愛話こそ挿入されていますが、基本は捕り物帳。銃撃戦は派手です。警官も、強盗仲間も次々に命を落とします。絶体絶命の中をデリンジャーが逃げ切るのではなく、彼の逃亡は計算尽くされています。パービス捜査官も、決して無能ではなく、デリンジャーの人脈や作戦の方が1枚上手、というだけです。犯人を執拗に追いつめる姿は、この映画をサスペンス足らしめています。そういう意味で、非常にリアリティあるプロットになっています。実話を元にしている、といいつつ、妙に劇的な演出やプロットを用意することなく製作しています。テンポもありつつ無理に飛躍しないストーリーは理解しやすく、派手すぎる演出で苦笑してしまうような場面もありません。
Publicenemies6  つまり、実話を元にした、セミ「ドキュメンタリー」というか、デリンジャーのサブ「伝記」(フィクションとして作られているので、セミ、とかサブ、と付けました)としては、傑作ではないか、と思えるのです。

 ならば、星5つか、というと、そう言い切れないことも事実です。リアリティがあるから映画として評価されるのか、ドキュメンタリータッチならば伝記はすべていいのか、という問題です。
 映画というのは、主人公にどれほどの魅力があるか、または主人公でなくともその他の登場人物に感情移入できるか、というのがカギであり、映画の評価を左右すると思うのです。事実を積み上げるだけでも、魅力的に映る人物はいます。エピソードの選び方一つで、魅力を引き出せるのです。

 ならば、この映画のデリンジャーはどうなのか。残念ながら、私には魅力的な人物には思えなかったのです。それは、ジョニー・デップの演技によるものではありません。エピソードの選び方にある、と思うのです。銀行強盗の話ですから、どのように強盗を働くのか、どう逃げるのか、が主要なエピソードになるのは当然でしょう。しかし、仲間を一人づつ失いながらも強盗を続けつつ、その死を振り返りもしないデリンジャーの姿の、どこに魅力を感じるでしょうか。自分を守ろうとしてくれた恋人を警察に拘束されても、淡々と次の強盗を行い、助け出そうという素振りも見せないデリンジャーに、どうして感情移入できましょうか。極悪非道な強盗でも、人間としての強い悲しみを見せ、泣き崩れるような面を見せたりすることで、人間性が浮かび上がってくると思うのですが、そんな場面はほとんどありません。マイケル・マン監督は、敢えてそうしたのでしょうが、それはエンターテーメントとしての銃撃戦や捕り物帳を楽しむしかない、という結果になってしまったのではないか、と思うのです。

Publicenemies5  それゆえ、映画のラストのセリフ「バイバイ・ブラックバード」も、ビリーと同様、本来なら涙が溢れてきてもおかしくないはずなのですが、そのセリフだけが妙に浮いてしまっているのです。淡々と描いておきながら、唐突に感情的な場面で終わるんです。それこそ、今思うに、「そう終わるなら、もっと伏線を引いてよ」と。

 完成度は高く、出来は良いけど、ストーリーにのめり込めない、そんな映画だった、というのが印象です。「アメリカン・ギャングスター」、「ジェシー・ジェームズの暗殺」など、主人公の人間性とその周りの人々の感情を描いた同系統の作品に比べ、感情的な面をあまりに抑えすぎたのではと感じました。

 

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