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2009/08/12

スルース(Sleuth)

むしろ観客に仕掛けられた頭脳戦では

51bfk0jpkcl  Sleuth。訳すと「探偵」(または「調査する」)。このタイトルが謎めいていて素敵です。だって、主役の2人、マイケル・ケイン演じるワイクは老推理作家、ジュード・ロウ演じるティンドルは売れない俳優、なのに、「探偵」なんですよ。ワイクの妻と愛人関係にあるティンドル、その二人が面と向かって交渉する、というお話なので、探偵の意味合いはどこに、、、となるわけです。途中の登場人物から、この語は「駆け引き」という意味合いで捉えればいいのでしょうが、その頭脳戦を観客にも挑んでいることが徐々にわかってきます。いや、むしろ、観客への頭脳戦が第一の目的だったんじゃないか、という気がしてなりませんでした。

 そもそも、舞台劇として作られた作品で、舞台は老作家の豪邸から一歩も外にでない、密室劇です。台詞そのものと、2人の掛け合い、騙しあいを楽しむ映画です。72年に一度映画化され、その時は、老推理作家と美容師、という設定で、何とマイケル・ケインが妻の愛人ティンドル役だった、というから面白い。映画の中で、ワイクが「美容師のお前、、、」と言って、ティンドルに「俺は美容師じゃない」と訂正される場面が2度ほどありましたが、これはオリジナルに伏線があったんですね。オリジナルを知っている人なら、クスクスっと笑えた所でしょうね。そんな所も、観客に挑んだ頭脳戦の1つかもしれません。(オリジナル未見の私は、残念ながら?マークが浮かびました、、、)

329519_01_01_02  ワイクの持ちかけた提案が、どこまで本気なのか怪しい臭いがプンプンします。「えっ、それにのっかるの?始めから嘘っぽいし、どこかで裏切るぞ」と思わずスクリーンの外から警告したくなりましたね。むしろ、そんな話の展開よりも、どこでワイクがネタばれさせるか、どうオチを作るのか、に関心は移ります。その落とし方は、次の展開がどう進むのかを観客にわからなくさせる、疑問を持たせたまま次の展開に進むという、これまた観客への頭脳戦ですよ。

 刑事の話、途中で完全にネタがわかってしまいますが、ティンドルが最初、俳優としてどんな役をやっているかと聞かれて答えた答えと、刑事がよく担当する事件はどんなものが多いかと聞かれて答える内容が一致していたのも、ちょっとしたジョークになっていました。これも、観客に、「さあ、気付くかい?」という前フリだったかも。その刑事話のオチも、登場人物本人たちには事実は分かっているはずなんです。見た目、2人の駆け引きのように見えますが、ティンドルにまつわるはっきりした事実は分かっているはずなんです。でも、観客はわかっていないまま、話を進められています。ゆえに、これもまた観客への頭脳戦なのです。

 そして、1対1で迎えたラスト「ゲーム」は、、、、、
 ワイクによる新提案のどこに罠が隠されているのか、それにまた乗るティンドルの思惑はどこにあるのか、など、登場人物2人の駆け引きの真骨頂はここだったのではないでしょうか。もちろん、観客を巻き込んでの頭脳戦であることに違いはありません。
329519_01_03_02  その際に鍵になるのは、ワイク演じるマイケル・ケインの演技力のすごさです。ジュード・ロウも迫真の演技で答えるのですが、ケインには及ばない、とみました。というのも、このラストゲームの後半は、「ゲーム第1戦」でのワイクの目の表情とは、明らかに異なっていました。そこに、提案した際の気持ちの違いを見て取れるのです。観客はその本気さを見て取れたと思うのです。
 しかし、ティンドルにはそれはわからなかったのでしょう。なぜなら、ラストゲームヘの勝利ヘの渇望のみが彼の心を支配していたからに他なりません。その駆け引きは、内容としてはティンドルの勝利、なのかもしれません。もちろん、内容で優ってもゲームに勝ったかどうかは別物ではありますが、、、。

 オリジナルとはエンディングは変えたそうですが、この題材に関して言えば、エンディングは幾通りも考えられると思います。エンディングがわかってしまっては、少なくとも観客にとってこの頭脳戦はつまらないものになってしまいます。変更は全問題なし、と思っています。その評価は様々でしょうが、私は「こういうのもアリ」と感じています。
 ただし、映画としてよかったのか、ストーリーの構成はよいのか、メッセージは伝わったのか、というと疑問符は残ります。観客への頭脳戦が主である以上、やはり舞台劇として見るのが正しい見方なのではないか、という思いは拭えないからです。
 楽しめたけど、映画としては、、、という難しい評価になった、ということを最後に書き添えます。

 

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