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2009/06/07

ナイロビの蜂(The Constant Gardener)

社会派サスペンス+究極の愛

Constantgardener  これは名作の1つに挙げられてもいい映画だろう。

 タイトルにからめて、この映画の良さを語ってみたい。

 まず、邦題「ナイロビの蜂」。これは、この映画で登場する、蜂のマークの製薬会社Three Beesのこと。ケニアでナイロビで、無料で薬などを提供する製薬会社。慈善活動のようにみえるが、その裏では、、、と胡散臭さタップリ。サスペンス、といいながらも、かなり早い段階で、この製薬会社の怪しさがわかってしまう。だから、プロットをどうつなげていくのか、その裏で糸を引いているのが誰なのか、が関心事となっていく。
Constantgardener4 そういう意味では、時間軸をずらしながら進む展開は、事実を浮かび上がらせるのには実に効果的になっていたと言える。妻テッサ(レイチェル・ワイズ)の死の真相を、外交官である夫ジャスティン(レイフ・ファインズ)が探っていく過程と平行して、過去にさかのぼる。一気に事実が解明されるのではなく、まさに1つ1つゆっくりと、真実にかぶされた薄皮を丁寧に一枚一枚剥がすように解き明かされていく。ドラマチックでもなく、あっと驚く展開でもなく。
  薄皮と書いたが、隠された真実を覆っていた皮は実は薄くはなく、テッサの死の真相にたどり着くまで、何重にも被されていた。その1つ、辺境の地で医療奉仕活動に携わる元Three Beesの研究員であり医師のロービアの元に、ジャスティンがたどり着く場面が最大の見どころだ。全ての疑問がその場所で見事に繋がっていく。しかし、1人の男ができることは限られる、、、。ストーリーも演出も非の打ち所がない。
 悲しいことに、不正を公にする手だては、ネタバレしないように書くならば、ジャスティンの最悪のシナリオであった、と言えるかもしれない。しかし、手の込んだ手だてではある。決して迷宮入りにさせない手だて。

Constantgardener5 また、この映画で描かれたように、アフリカ諸国の犠牲のもとに先進国が守られている、という問題提起は、今われわれに突きつけられた問題であろう。医療の研究データは、いわゆる臨床試験によって作られている。不治の病に対する新薬の開発は間違いなく社会正義だろう。その社会正義のためならば、犠牲は仕方がないのか。人の命は同じだ、といいつつ、途上国の人々の命は本当に先進国の命と同等に扱われているのか。おそらく、元研究員ロービアの心的変化も、この問い掛けへの返答だと思われる。そして同時に、われわれもそれにどう答えるのか、投げ掛けられているのだろう。

Constantgardener1  次に原題The Constant Gardener。constant(継続的)に庭の手入れをする人(gardener)。主人公ジャスティンは、趣味が庭いじり、今風に言えばガーデニングが趣味。訪問客に、自分の手入れした庭を案内して喜ぶ男。独身時代に、テッサの自宅の荒れ放題の庭を見て、手を出したくなるほどの庭好き。仕事は決められたことだけ、社会的関心もなし、そんな外交官。その彼が、愛する妻の死の真相を探るにつれ、不正に気付き、妻からの深い愛情を再認識し、社会に目を向ける男に変わっていく。そして、亡き妻のため、妻が取り組んだリサーチを引き継ぎ、妻に愛を捧げる。

 英語版のキャッチコピーは

 Love. At any cost. (愛する。どんな代償を払っても)

Constantgardener2英語版はあくまでも、ラブストーリーなのだ。テッサは、社会正義を求める自分の意志を貫きつつ、愛する夫ジャスティンの外交官という仕事に不利益を被らないように配慮していた。愛するからこそ、話さない。これを理解するのはなかなか難しいことだろう。もちろん、隠し事のない関係は素晴らしいだろう。しかし、愛するからこそ、相手の立場を思いやって行動することも大事だろう。そんな愛の領域に入っていたテッサ、そしてそれを最後にはしっかりと理解できたジャスティン、2人の愛は、まさに「どんな代償を払っても」貫き通した愛なのだろう。

 日本語タイトルから社会派サスペンスを、英語タイトルからラブストーリーを感じられた映画、そして、その両者の絶妙のバランスがこの映画を傑作たらしめたのではないだろうか。

 感動のあまり、ジョン・ル・カルレの原作も読んだ。原作では、独身時代のジャスティンとテッサが惹かれあう過程が描写されている。映画において、唯一欠点と思われるのが、この部分を簡潔にしすぎた点。2時間半の映画にすれば、おそらく描ききれただろうが、そうすると冗長になったかもしれない。製作者のこの選択は、どちらが正しいとは言いきれないだろう。

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コメント

こんにちは。映画「The Constant Gardener」見ました。

>感動のあまり、ジョン・ル・カルレの原作も読んだ。

原作には「イヴェット・ピエルパオリに捧げる」との謝辞があり、調べてみたらアルバニアで殺害された慈善活動家で、テッサのモデルになっているのですね。人道支援のための資金を得るためには男性と関係を持つことさえ厭わなかった方のようです。映画の世界観がさらに広がりました。

良作との出会いに感謝です。

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