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2009/05/31

消されたヘッドライン(The State Of Play)

取材現場の進行状況はこんなんだろう

Stateofplay  イギリスBBCのドラマ「ステート・オブ・プレイ〜陰謀の構図〜」のリメイク版であるこの映画、ジャーナリズムと権力、巨大資本がからんだ社会派サスペンス、ということで、ドラマ未見(08年に日本でもBSで放送されたらしい・・・BSないので知らなかった)で見に行きました。「ラスト・キング・オブ・スコットランド」の監督(ケビン・マクドナルド)、ラッセル・クロウ主演にヘレン・ミレンも出演している、ということでかなりの期待を抱きつつ。

 麻薬取引に関わると思われる殺人事件と、国会議員の秘書(スタッフ)の転落事故、この2つの事件がどう繋がっていくのか、それをどのように解明していくのか、がこの映画の見どころでしょう。これに関しては、予想以上の出来だと感じました。テレビドラマや小説なら、時間をかけてゆっくりと謎解きをしていくのでしょうが、映画では時間はかけられません。そこを、新聞記者のカル(ラッセル・クロウ)を中心とした新聞社のスタッフたちが駆けずり回る、電話をかけまくる、という映像を挟むことで時間の経過を上手く表せていたと思います。よくありがちな、「最初に気がつき、取材したら図星」という安易さはなく、新米新聞記者デラ(レイチェル・マクアダムス)が無駄足を運ぶ場面がちゃんと入っている点にリアリティを感じました。デラのまっすぐで、怖い物知らずの行動振り、カッコいいですね。憧れます。若い頃はあれぐらい突っ走ったものだなあ、と昔の自分を懐かしく思いました。(あ、私新聞記者じゃないですけどね)
Stateofplay3  また、カルが日常の取材で警察の内部に仲の良い人物をしっかり作っている、という手管はさすがですね。ネット社会になり、デスクに座ってインターネットやデータベースを探るのは取材ではなく、「取材は足で」を地で行っています。そして生身の人間とつながる。ネット社会の今、私たちが忘れかけていることですよね。

 カルが大学時代の友人のスティーブン・コリンズ議員(ベン・アフレック)に妙に肩入れするのが、最初はどうも解せなかったのですが、その理由が単に旧友だからと言うわけではないのが徐々に見えてきたのは上手い演出でした。そこは、スティーブンの妻アン(ロビン・ライト・ペン)の演技力が光っています。難しい役柄だと思いますよ。
Stateofplay2  逆に、スティーブンの心境と言うものが、今いち掴みきれないと感じました。こいつ、何考えてんだ、分からんなあ、と観賞中ずっと考えていたんですが、これは演出上の作戦だったんですね。ミステリーに包まれた感じにしておく、という演出。それがエンディングのどんでん返しに繋がると考えると、納得できます。無理のない人物設定でしょう。

 タイトルThe State Of Playとは、イギリスの国民的スポーツ「クリケット」用語で、試合の進行状況、だそうです。クリケットのごとく、ジャーナリズム側と政治・資本側の対決の、試合進行状況、なのでしょう。そういう意味では、テレビドラマのサブ邦題「陰謀の構図」は的確なタイトルだと思います。が、映画のこの邦題は、ちょっとどうかな、と感じます。「消されたヘッドライン」は、オチのネタバレのようなタイトルではないでしょうか。「最後に新聞のヘッドライン(記事の見出しタイトル)が圧力で消されてしまいますよ」と言っているようなもの。私も、そうなるんだろうな、と思って見てました。ところが、消された、のではなく、書き換えた、のが正解なんですね。一本取られた、というより、タイトル違うだろ、と突っ込みたくなりました。いずれにしろ、興味を半減させ、誤解を招く邦題のような気がします。

 エンディングのどんでん返しの批判が他の方のレビューで多く見られます。そのエンディングについてですが、それがなくても映画としてはまとまったと思いますし、観賞後感の良い映画になったかもしれません。ただ、「自分の打った手が、時には想定以上の結末を迎えるんだ」という教訓を私たちに与えてくれる、という意味では、このエンディングも悪くない、と思います。また、「大きなことは、ほんの些細なことで決まる」不条理さは、現実でもあります。ストーリーの辻褄さえあっていれば、いいじゃないでしょうか。観賞後に、辻褄の合わない箇所を一生懸命探してみましたが、それはないようですね。どこかに結末を「ほのめかす」ような場面があってもよかったのかもしれません。そうすればもっと多くの人が納得したんではないでしょうか。

Stateofplay1 カルの上司で編集長を演じたヘレン・ミレンの迫力は、全ての出演者総掛かりでも及びませんね。売れる新聞を作らなければならない責任者としての迫力、私が部下だったらもう何も言い返せません。

 英語で、記事の「ネタ」をstoryと言うんですね。刑事が、This is not a story.  It's a case.(これは、ネタじゃない。事件なんだ)と言う台詞にも唸らされました。

 最後に、一言。ジャーナリストたちが高い評価をしているそうなので、これはジャーナリズムの現場の真実に近いんでしょうね。売れるネタ・ゴシップを掲載する姿勢と、真相を追究し権力を糾弾する姿勢。この両方をどのように天秤かけるのか、日々現場では自問自答しているんでしょうね。片一方に偏れない現実。そのことがよくわかった映画でした。

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» 「消されたヘッドライン」派手さは無いが、ほど良い緊張感が心地良い [soramove]
「消されたヘッドライン」★★★☆ ラッセル・クロウ 、ベン・アフレック 、レイチェル・マクアダムス 、ヘレン・ミレン 主演 ケヴィン・マクドナルド 監督、2009年、127分、アメリカ、 イギリス 「大学からの親友同士、 ひとりは新聞記者に、もうひとりは議員となり それぞれの分野で活躍していたが ある事件がきっかけで、ふたりの人生が 再び交錯する、 心地良い緊張感が途切れることなく 上質のサスペンス映画が出来上がった」 ラッセル・クロウ扮する新聞記者側から... [続きを読む]

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