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2009/05/15

天使と悪魔(Angels And Demons)

宗教謎解きをもっと楽しみたかった

Angelsdemons1  この映画のレビューで、ネタバレを書くことは、映画ファンの道義に反するだろう。だから、ネタバレしないように、注意して書くことにする。
 さて、この映画、ミステリーとしての命綱であるプロットはよく練られていて、結末に至る展開も二転三転し、二時間半、最初から最後まで息もつかせない。それでいて、「ダ・ビンチ・コード」とは違い、宗教の知識が少なくても充分にストーリーを理解できる脚本となっている。謎解きも、殺人犯を追うカーアクションも、殺人事件の見せ方も、犯人との対峙も、バチカン爆破を止める奇想天外な方法も、そしてお決まりの内通者やどんでん返しもある。ないのは、ロマンス、逃亡ぐらいだろうか。考えられる全てのエンタテーメント性が詰まった映画だろう。純粋に、そして、知的に映画を楽しめる映画であることは間違いない。
Angelsdemons3  宗教的知識がなくても、と書いたが、カトリックにおける教皇選挙(コンクラーベ)を始めとした宗教行事についての説明が、映像と台詞で巧みになされているため、非常に分かりやすくなっているからだろう。これなら、教皇が亡くなる、新教皇が決まる儀式(会議)、その時間軸の中での、新教皇候補の誘拐、救出、と続くストーリーに、観客は置いてけぼりになることはない。
 また、宗教と科学の対立、という分かりやすい敵対構造や、過去における弾圧と現代における復讐という図式も、単純すぎるきらいはあるが、エンタテーメントの面では理解しやすい。「ダ・ビンチ・コード」では、カトリック総本山であるバチカンが痛烈に批判したが、この映画には宗教的に無害、と判断したのも頷ける。もちろん、「ダ・ビンチ・コード」でのカトリックは、自身を守る保守性と対立する者への攻撃性の象徴のように描かれていたのだから、批判したのだけれど。ダン・ブラウンの著書としては、「天使と悪魔」が先、「ダ・ビンチ・コード」が後である、というのは、より宗教面に深く踏み込むという著者の思惑があったのだろう。

 ここまで書くと、前作より楽しめる映画になった、と思われるかもしれない。確かに、多くの人にとっては、楽しめる。それは間違いない。
 でも、中には、宗教や芸術のうんちくを楽しみたいと思う人もいるだろう。私もその1人なのだが、秘密結社(イルミナティ)の存在、バチカン市内の教会の彫像を利用したラングドン教授の謎解きは、今回も興味をそそられた。そんな人にとっては、先に述べた対立構造の単純化や、前半に布石のない結末のどんでん返しには、知的好奇心をくすぐられない。観客を驚かすためだけに用意された結末の様な気がしてならない。犯人の動機も分かり難いままだ。むしろ、第一幕(見た方なら、この表現で分かると思うが)で終わってくれた方が、スッキリした気分になっただろう、少なくとも私にとっては。
 科学の生み出した新エネルギー物質である「反物質」(anti-matterとか言っていたが)も、新規の核エネルギーのようにも見え、それが「科学の英知」とも思えない。それこそ、「人間が自分を神とみなした行為」のようである。それ程の驚異的な科学の発明が、いともあっさりと盗まれるのも、どうかと思う。これはつまり、科学と宗教、と言う対立軸を強調するためだけの素材であった、ともとれる。

Angelsdemons2  最後に、カメルレンゴとコンクラーベについて記す。
 カメルレンゴとは、教皇事務局の長官の称号であり、名前ではない。
 コンクラーベとは、ラテン語で「鍵とともに」という意味だそうだ。映画の所々で、様々な鍵を見る。教皇選出の会議をする部屋に鍵をかける。現代における鍵は、デジタルコードであり、人体認証であったりする。科学であろうと、宗教であろうと、そこへの出入りにはすべて鍵が、文字通り「鍵」となっているのだろう。

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» 映画 「天使と悪魔」の感想です。 [MOVIE レビュー]
トム・ハンクス主演の映画「天使と悪魔」が15日(金)から世界同時公開でした。私は土曜日に観てきました。2006年5月に公開された「ダ・ヴィンチ・コード」の続編と言うふれ込みで公開されていますが、別にストーリーが繋がっている訳ではないので(たぶんですよ!?自信無い!(笑))、前作の復習をしていないと理解できないと言う事もないです。前作の「ダ・ヴィンチ・コード」の場合は、宗教用語や謎解きの部分が多く出てきたので原作本を読んでいない人には分かり辛い内容だったと思います。 その反省を踏まえてなのか?この「... [続きを読む]

» 「天使と悪魔 」それはひとりの人間の表と裏 [soramove]
「天使と悪魔 」★★★★ トム・ハンクス ,アイェレット・ゾラー ,ユアン・マクレガー 主演 ロン・ハワード 監督、2009年、139分、アメリカ 「ロバート・ラングドン教授の 今度の冒険の舞台は、ヴァチカン。 謎に包まれた秘密結社イルミナティの 復活の証拠を発見し、古代の印から 暗号を読み解き核心に迫っていく」 そつないストーリー展開で 安心して映画の世界へ入っていける、 あとは都合が良すぎるかな等々感じながらも 教授が発見する様々な歴史の符号。 ... [続きを読む]

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