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2009/04/19

スラムドッグ・ミリオネア(Slumdog$Millionaire)

歴史に残る映画、であることは確か。でも、違和感は消えない、、、

Slumdogmillionaire2  アカデミー賞の作品賞は単なる話題性だけではなく、作品としての高い評価がなければ選ばれない、と私は思っている。また、単なる娯楽性だけでなく、作品を通して何がしかの社会問題や歴史問題を取り上げられていなければならない、とも思っている。
 さて、この映画、インドでの撮影、インドの俳優主演、低予算、それでアカデミー賞作品賞獲得、と話題になった。学校に通っていない、スラム育ちの1人の若者が、クイズ・ミリオネアに出場し、正解を出し続ける、それも正解は単なる偶然ではなく、スラムで育ったことで必然的にその答えを知っていたんだ、という設定は、それだけでも興味津々。スラムで暮らすという、多くの欧米日本の人々が体験しない世界に光を当てる、という点で、社会問題提起しているのでは、とも思える。
 彼がなぜその質問を答えられたのか、それを示すエピソード1つ1つどれも確かに、スラムで暮らす彼らの日常での出来事の1つ1つなのだろう。画面に引き込まれるように見入ってしまった自分がそこにいた。社会問題と娯楽性を適度に混ぜ、エピソードを組み立てている。よく練られた脚本だ。
Slumdogmillionaire3  イギリス映画らしく、ニヤリとさせられるアイロニーもしっかり込められている。アメリカ人観光客相手のガイドの商売の話では、貧者をお金で動かそうとする、また、お金によって誠意を見せるという、「アメリカ方式」を痛烈に皮肉っている。これには、声を出して笑ってしまった。機知に富んだ脚本だ。
 主人公ジャマールの兄サリームの思いもよく描かれている。弟を強く思う気持ちと、支配下に置きたいという気持ちを複雑に入り交じらせている、という彼の様子を、様々なエピソードに忍ばせている点も特筆すべきだろう。感情移入しやすい脚本だ。

 ここまで書けば、星5つの完璧な作品、となるのだろうが、私にはどうしても幾つかの点で違和感が残ったのも確かだ。

 違和感1
Slumdogmillionaire1  冒頭での4択問題、
A: He cheated.(ズルをした)
B: He's lucky.(運が良かった)
C: He's genius.(天才だった)
D: It is written.(運命だった)
 で、答えはD、ということなのだが、本当にそう? 実はBじゃないかなあ。ジャマール自身も言っているように、「(誰もが知っていることを)僕は知らない。でもこの問題の答えは知っていた」のだから。それを運命というのには抵抗がある。偶然の要素も、幸運の要素もあるのが人生。ミリオネアに出演できるのも、その問題が出されたことも、運命とは呼びたくない、と思う。人生って決められている、とは思いたくない。それが違和感。
  ちなみに、It is writtenがなぜ、「運命だった」と訳されているのか。It is writtenという表現は、聖書の中に書かれている"It is written: He(God)..."ということばからの引用であろう。つまり、「(聖書には)こう書かれている。『主は、、、、と話された』」という、神の言葉、神の思し召しであると言う意味で、そうなるのは至極当然、運命のようなものである、ということだ。ここに、キリスト教的思想が入っている。インドを題材にしつつ、こうした世界観・宗教観には違和感を感じる。

 違和感2
 スラムの街が、美しく描かれすぎていないか。
 遠景で、赤茶色の屋根が一面に写し出す光景は、美しさすら漂う。カメラワークの上手さであろうが、それは事実を歪めていることにならないだろうか。映像では伝わらないもの、それは「臭い」。海外に行くと感じる、その町特有の臭い(匂い)。ゴミ山のそばに立つスラム街なら、ゴミの異臭が立ちこめているはず。それを抜きにして、美しさを見せることは偽りではないのか。それが違和感。

 違和感3
Slumdogmillionaire4  最後の一問。ネタバレしないように書くが、前半の巧妙に寝られた筋書きとは裏腹な展開。意表を突こうとしたのかもしれない、が、私には違和感が残った。
 弟を思う兄サリームの行動に、兄弟の闇の部分を担った兄の、懺悔の気持ちがよく現れていたが、なぜ、こういうエンディングを持ってきたのか、違和感。こちらこそ予定調和のエピソードでもよかったのに、とは感じた。

 それでも、後味も悪くないし、歴史に残る名作であることには変わりはない。この私に残る違和感は、私だけなのかもしれないね。

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コメント

違和感を感じる部分て人それぞれ違うところなのですね。
私はまったく違う部分に違和感を感じました。

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