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2009/02/01

チェ 39歳 別れの手紙(Che Part2 Guerrilla)

ゲバラは農民に裏切られたのではない

331776_02_01_02  チェ・ゲバラがキューバを離れ、ボリビアで革命を起こそうとゲリラ闘争を行うが、戦いは敗れ、最期を遂げてしまうまでを描く、2部作の後編。1部がサクセスストーリーなら、この2部はトラジェディ(悲劇)といえる。しかし、ソダーバーグ監督の演出は、今回も、あくまで坦々と、起伏なく、冷静だ。感動させよう、驚かせよう、という過度の演出は一切ない。

 1部と違い、ゲバラの戦略の巧みさは現れない。むしろ、読み違い、作戦ミス、そしてアメリカに指導された政府軍の戦術の巧妙さが際立ち、悲しい思いに駆られる場面が多い。邦題は「別れの手紙」と題しているが、それは盟友カストロに宛てた手紙のことである。てっきり、キューバ国民や家族へあてた手紙か、と勝手に想像していた私。感傷に浸らせるような手紙ではなかった。私の勝手な思い込みが、映画冒頭で打ち砕かれ、観賞の興味は、彼の闘争が何故失敗したか、と言う点に移る。 

331776view002  まず、はっきり書こう。彼の失敗は、農民に裏切られたことである、と書かれている解説やあらすじが多いが、私はそうではないと思う。政府軍に捕まった時、ゲバラは大佐の質問、「なぜ農民たちに裏切られたと思うか」に対し、こう答えている。

「彼らはお前たちの嘘を信じただけだ」

それに、最初にゲリラ軍の情報を政府に知らせることになった農民のことばも注目したい。それは、

「食べ物と引き換えに、(ゲリラ軍は)お金を置いて行ったが、私らにはこれを使う機会がない」

331776view005 キューバと明確に異なること、それは、キューバの農民が大地主から搾取を受け、苦しい生活を強いられていたのに対し、ボリビアの山岳地帯の農民たちは自給自足の生活で、地主や政府からの搾取という直接的な被害を受けていなかったことであろう。ボリビアの炭坑で働く坑夫たちは、自分たちの暮らしが良くならないことに不満を覚え、ゲリラ軍に加わったり、ゼネストを強行してゲリラ軍を支持する。それは、より良い生活がどんなものなのかを具体的にイメージできる環境にあり、それと比較して自分たちは虐げられていると理解できる知識があったからだ。が、首都から遠く離れ、自分たちのコミュニティの中でひっそりと暮らしている農民たちにとって、「ここに道が出来たら農作物を都会で売れるんだ」「学校が建てれるんだ」「病院が建ち、病気が治るんだ」と説得されても、その良さ、便利さを理解することはできない。政府発行のお金を積まれても、使うチャンスはない。人を疑わない彼らは、政府軍に「ゲリラ軍はお前たちを殺そうとする」と言われると、そう思わざるを得ない。

 彼は捕まった時に、1兵士に、「神を信じるか」と問われ、こう答えている。
 「私は人間を信じている」
 ゲバラは農民たちを信じた。自分たちの言葉を理解してくれると。

 残念ながら、農民たちが信じたのは、言われたことが具体的に頭の中でイメージできたことなのだ。ゲバラ率いるゲリラ軍は、農民を含めた貧しい人々のために革命を起こそうとしたことに間違いはない。しかし、彼らを味方に引き入れるにはまだ時期尚早だったのかもしれない。いかに政府が山岳地帯の農民を見捨てているのか彼らが体感できた時が、革命の時なのだろう。

 裏切られたのではない、「その時」ではなかったのだ。

 最後に、ゲバラが亡くなる、その瞬間を描いたカメラワークの秀逸さ、を書き添えておく。このエンディング、余韻を残す素晴らしい演出だ。

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