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2009/01/18

チェ 28歳の革命(Che: Part One / The Argentine )

感動でも落胆でもない、評価の難しい映画

331022view001  伝説の、カリスマ的存在、革命闘士チェ・ゲバラの半生を描いた伝記映画。中南米で圧倒的人気を誇る彼の魅力とは何か、それを知りたくて公開初日に観に行った。決してエンタテーメントでない映画だろうと予測がつくにもかかわらず、思ったより多くの人が劇場にいた。多くの人が関心を持っている話題作なのだなあ、と思いつつ、鑑賞。
 上映時間、2時間強。そして、観賞後持った印象がこれ。
 感動でもない、落胆でもない、非常に評価の難しい映画だ。

 ゲバラがカストロとともにキューバ革命を成し遂げるまでの事実を描いたノンフィクションであるため、意図的な感動ストーリーを捻出しているわけではない。だから、彼が若き日のカストロに誘われて、キューバに船で密航する所から、革命達成まで、どのようにゲリラ戦を戦い抜き、キューバ第2の都市サンタ・クララを陥落させたか、を丹念に描いているだけである。たいした誇張も、脚色もないであろう。まさに、坦々と描いているのだ。そこには、感動させようとか、ゲバラをことさらに神格化しようという意図は見られない。
331022view007  ゲリラ戦の間に描かれるエピソードは、チェの人柄を映し出している。文字を読めない者には学問の大切さを説き、戦闘の合間にも勉強をさせる。また、訪れた村では、医師として住民たちを診察し、とりわけ老人や子どもへ優しい目を向ける。弱者への暖かい視線がひしひしと伝わってくる。また、規律を重んじ、非道徳的な行為に対しては厳しい態度で望む。ゲリラ軍を裏切り、女性への暴行と殺人を行った者に対して容赦なく処刑する。軍事政権(政府)軍下のサンタクララを陥落させたあと、首都ハバナへ進む道中でも、政府軍から車を奪った者に対して厳しく叱責する。

 このようなエピソードは、ゲバラの、人としての魅力を伝えるには加不足ないであろう。ただ、エピソード、そして戦闘シーン、またエピソード、と繰り返される展開は、やはり記録映画の域は出ないことは確かなのだ。そこに、感動の涙はなく、ただうなずくのみ、なのである。
331022view004  もちろん、描かれる全ての出来事は事実であり、軍事独裁政権から共産主義革命を達成したという事実そのものに落胆を持つわけではない。一握りの裕福な層と大多数の貧困な民衆、という構図から、平等社会を目指そうとした革命の意図に、異議申し立てをするつもりもない。だから、落胆することでもない。
 だから、評価が難しいのだ。

 彼の戦いの映像の合間に、革命後に彼が国連で演説する様子が映し出される。これが、彼の思想的な部分を理解することに助けとなる。アメリカの資本による中南米の貧困国への搾取はアメリカ帝国主義であり、彼らが指揮する革命の正しさを訴える論理には、唸らされる。そこには、搾取される弱者への、人間への愛が感じられる。訴える姿に、中南米の民衆が彼をヒーロー視する意味が読み取れる。でも、それは感動ではない。感心、とでも言えばいいのだろうか、良い表現が思い浮かばない。

 一つ言えることは、この映画では、彼の家族愛についてほとんど語られていないという点が、私にこんな印象を持たせたのではないか、ということである。家族を語ることで、その人柄が、観る者の心に響くものとなり得ると思うからだ。彼の愛称「チェ」とは、アルゼンチンのスペイン語で、親しみを込めて呼びかける言葉、だそうであるが、民衆が彼を「チェ」と親しみを込めて呼ぶ理由はこの映画でよく理解できた。次は、家族を前にした彼の人柄を観たい、と思った。

 そういう意味で、この映画の第2部「チェ 39歳 別れの手紙」に、期待している。

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