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2008/12/20

ワールド・オブ・ライズ(Body Of Lies)

エンタテーメント性も社会性も兼ね備えた、対テロ戦争を描く問題作

Bodyoflies  リドリー・スコット監督、主演ラッセル・クロウとレオナルド・デ・カプリオ、舞台は中東。すぐに観に行きなさい、と言われているような感覚に襲われて、公開初日に行きました。 
 期待通りの、エンタテーメントに優れた渾身の一作であり、いろんなことを考えさせてくれる問題作でもありました。

 まず、エンターテイメント性。
 映画のキャッチコピーでもある、「どっちの嘘が世界を救うのか」は、実は正確なコピーとは言えないでしょう。どっち、というより、次々と嘘が並ぶからです。諜報戦らしい、といえばそれまでですが、テンポよく、次々と繰り出される嘘は、邦題「ワールド・オブ・ライズ」(嘘の世界)そのものです。2時間が全く中だるみなしにあっという間に過ぎました。
 CIA幹部エージェント・ホフマン(ラッセルクロウ)を、チョット太り気味体形にしたのは秀逸です。一見、どこにでもいそうなおっさん、実は冷徹で賢いエージェント、というのは意外性があり、この手の演技はラッセルもお手の物でしょう。怖い物知らずでまっすぐで、現地(中東)の事情に精通し、そのうえ人情味がある切れ者工作員・フェリスには、デカプリオはまさにうってつけ。(ただ、彼の最近の役はこんな雰囲気ばかりであるのは気にかかります) この2大スターの配置は見事で、十分に演技を堪能できます。

 

Bodyoflies1次に、テロ、という現代における安全保障の最重要課題に関しての問題提起。
 イスラム社会とキリスト教・ユダヤ教社会という宗教の問題や、テロを生み出す土壌や政治問題などは、実はかなり複雑で深い構造になっているのですが、この映画ではその深さをかなり単純化して説明している、と感じました。すなわち、「テロ集団は、豊富な資金を持つ富裕な指導者に率いられ、イスラム社会の信心深い貧困層を利用し、テロ戦争を仕掛けている。アメリカ(を中心とした)側は、高度な技術を駆使してテロ封じ込めを狙う。」という構図です。衛星からピンポイントで鮮明に人の動きを追う高度な技術を持つアメリカに対し、インターネットや携帯電話ではなく、人か人づてに情報を伝次していくテロ集団。高度に発達した技術の盲点は、非常に原始的な方法にたいして無策となること、なのです。かつて、アメリカはベトナム戦争で、熱帯雨林でのゲリラ戦に結果的に敗れてしまいました。その繰り返しを観るような、中東での失敗に警告を発しているかのようです。
 ならば、そのテロ集団に立ち向かう方法は何?。この映画にその答えが隠されているような気がします。それは、同じイスラムでも欧米よりの行動をとったヨルダンの諜報部トップのハニ(マーク・ストロング)の思想。「私は嘘は嫌いだ」とフェリスに迫るハニの姿、そして、テロ集団に加わりかける若者を救う方法に、アメリカ(を始めとした国々)が今忘れかけているものを観たような思いに駆られました。ネタバレしない程度に書けば、それは、人を動かすのは人の心だということ。人から受けた恩は恩で返すものだ、ということ。もちろん、ハニの行動は、諜報部としての行動であるため、危険や犠牲をいとわない、と言う点で決して人道的でないことは確かで、全てを受け入れられるわけではないと付け加えておきます。

 かつて、「シリアナ」という映画がありましたが、この「ワールド・オブ・ライズ」は、その映画ほど複雑な設定にせず、エンタテーメント性を保ったまま、問題提起することに成功した映画ではないでしょうか。

Bodyoflies2  ところで、映画のタイトルはどんな意味なのでしょうか。Body of Liesのbodyは、「身体」の他、「ある機関の集団」「死体(dead body)」があります。だから、まずは「嘘の集団」 と言う意味。CIAはもちろん、諜報戦に絡んでくる機関は全て「嘘」で固められた集団。その属する人々もみんな「嘘の身体」を持ち、偽名はもちろん、目的のためには味方も欺く、ということでしょう。その嘘により、多くの犠牲者(死体)も生んでしまうという悲劇。正義のための犠牲は認められるのか。そんなメッセージも込めているのかもしれません。

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「ワールド・オブ・ライズ」★★★☆ レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ主演 リドリー・スコット 監督、アメリカ、128分 ー硬派な映画ながら見応えアリ  過剰な演技ほどは伝わるものは少ないー リドリー・スコットにラッセル・クロウとくれば、 名作「グラディエーター」が浮かび 見る前から期待してしまう。 中東を舞台にいまだ根強い 反アメリカ的な組織のテロを 連想させるようなスリリングな展開。 ディカプリオは体を張って頑張ってる、 彼の思いつ... [続きを読む]

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