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2008/10/13

私がクマにキレた理由(The Nanny Diaries)

クマにキレる前のストーリーで十分楽しめる

Thenannydiaries  期待せずに観に行った映画が予想外に面白かった時ほど、嬉しい気分になれるのはない。今回はまさにそうだった。
 ストーリーは予告編と邦画タイトルでほぼ予想がつく。「キレた」なんてタイトルに入っていれば、最後に怒りをぶちまけると言う展開は目に見えている。「ブリジット・ジョーンズの日記」や「プラダを着た悪魔」とどう違うかな、今が旬のスカーレット・ヨハンソンとアリシア・キーズの演技でも観に行くか、と言う軽い気持ちだったが、嬉しい誤算だった。

 アメリカでベストセラーになった「ティファニーで子育てを」が原作の本作品。セレブの生活を、子守り(Nanny)の目で描いたと言う点が特徴。マンハッタン島でも、ニューヨーク市内でもなく、郊外のニュージャージーに住む大学出たての主人公アニー(スカーレット・ヨハンソン)。女で一つで育てた母親が望む金融界への就職を目指すが、彼女が大学で学んだのは「人類学」。自然史博物館がお気に入りの場所。
 そんな彼女が、「自分」を見つけるためにセレブの生活に「侵入」する。偶然の産物もあったにしろ、このストーリーの展開はテンポよく、一気に映画に惹き込まれる。登場人物の紹介は、アニーのモノローグが大いのがやや気になるが、主人公、友人(アリシア・キーズ)、母親、雇い主セレブのミセスX(ローラ・リニー)とミスターXと5歳の息子グレイヤー、他のナニーたち、「ハーバードのイケ面(Harvard Hottie)」、を一気に紹介してくれるので、ストーリーにスッと入っていける。これは、アニーが人類学専攻、という設定が効いている。彼女のモノローグは感情を込めない、学術的・分析的・第三者的な解説なのだ。感情を説明するモノローグでは俳優が演じる必要がなくなってしまうが、これならモノローグが効果的だ。

Thenannydiaries3 X夫妻の自分勝手な振るまいは「ブリジットジョーンズの日記」の最初の恋人、「プラダを着た悪魔」の編集長を思い起こさせるが、セレブの生活を皮肉たっぷりに紹介する点が異なる。庶民とはかけ離れた暮らしぶりはもちろん、庶民なら普通に楽しめるものまで制限されたグレイヤーの様子、子どもへの愛情が完全に見当違いになる様子、セレブ対象の○○講習会のうさんくささ、慈善活動に妙に熱心、といった出来事が描かれる。そう、そこで紹介されるセレブ生活は全く羨ましくないのだ。皮肉、と書いたが、ペーソス(悲哀)と言った方がいいのかもしれない。男はお金とビジネス、女は飾られただけの上部だけの生活。本当の意味で人生を謳歌しているとは言えないセレブの生活、なのだ。そういう点で、女性だけではなく、庶民はみんな完全にアニーに感情移入できるのだ。「ブリジット」と「プラダ」とは明らかに違うのはこの点であり、この映画の一番の面白さでもあるのだ。
 という理由(わけ)で、この映画の面白さはエンディングまでの展開にあり、エンディングではない、と思う。クマにキレる前のストーリーで十分楽しめる映画だ。

 

この映画、原作に忠実に映画化しているかと思ったら、そうではないらしい。アニーの設定は、原作とかなり異なっているそうだ。原作では、アニーはマンハッタン内の女子高卒でニューヨーク大学の学生、専攻も児童教育学。X家に居候しているのではなく、アパートに住んでいる。ベビーシッターの経験もあった。父は大学教授、母は弁護士、と知識層に属している。セレブとは言わないまでも、それなりに裕福な家庭に育っている。原作を変えると面白さが失われる場合が多い。しかし今回は上記のように、映画の特徴をハッキリさせ、メッセージを印象付けるのには、映画版の設定にして正解だった。

Thenannydiaries2  誰もが言う、邦画のタイトルへの苦情を最後に一言。「クマにキレた」と付けたせいで、エンディングのオチは完全に分かってしまう。それは、映画の内容を教え過ぎではないだろうか。ティディベアに隠しカメラ(nannycam)も、観客にはバレている。禁じ手でしょう。

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