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2008年7月

2008/07/23

オリバー・ツイスト(Oliver Twist)

「悪いことは悪いんだ」という公正さ、「自分を信用している人を裏切らない」という誠実さ、それが大切

322771view011  チャールズ・ディケンズの名作を「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキーが2005年にリメイクした映画。
 タイトルやプロットは何度も耳にしたことがあるし、ミュージカル版「オリバー」も有名なのだが、鑑賞したことはなかったので、DVDを借りた、多くの映画レビューは結構辛辣な内容になっているので、実際どうなんだろう、という思いもあり、期待半分で観てみた。
 観た直後の感想としては、「そんなに酷評する映画じゃないよ」。フレディ・ハイモア主演の「奇跡のシンフォニー」(以下「奇跡」)が、この作品のプロットと似ている、と言われているが、「奇跡」よりは遥かに良い点が多いと思う。

 まず、人物描写の面から。
 激動の時代の中で、自分を決して見失うことなく真摯に生きようとする主人公の姿にとても好感が持てる。とびきりのスーパーマンでもない、ごく平凡な一人の少年の話である。境遇は平凡ではないが、自分から何かを働きかけたわけではない、という点で、行動は平凡、と言える。しかし、オリバー少年はどんな境遇でも、「悪いことは悪いんだ」という公正さ、「自分を信用している人を裏切らない」という誠実さを決してなくさない。人として大切なことは何か、それを私たちに教えてくれる。
322771view002  スリの親玉フェイゲン(ベン・キングズレー)の人物像。犯罪者で悪人であることは確かだが、オリバー(や他の子どもたち)への愛情は深い。間違いなく悪ではあるが、時折見せる善の面が映画を観ている者に、フェイゲンと言う人物への複雑な印象を与える。人間というのは、善悪単純に判断できるものではない、ということを教えてくれる。なにより、ベン・キングズレーの好演により、フェイゲンがある意味魅力的に映ったことは確かであろう。

 また、ストーリーの面。
 19世紀のイギリス。突拍子もないストーリー展開ではなく、流れに無理がない。(「奇跡」は無理だらけ) 老紳士ブラウンロー(エドワード・ハードイック)がなぜにオリバーに入れ込むのか理解しがたい面は多少あるが、物語としては十分許容範囲だろう。ラストに、オリバーが牢獄のフェイゲンを訪れるエピソードも、主人公の人物像を浮かび上がらせるには十分な内容だ。

 オリバーの生き方、フェイゲンの人物像、ストーリーの展開、どれも十分に評価されていい内容だと思う。

2008/07/21

リトル・チルドレン(Little Children)

元警官とロリコン男のストーリーは決してサブではない

Littlechildren2  不倫を題材にした映画、ということで、「マジソン群の橋」のようなドラマ、または「氷の微笑」のようなサスペンスを予測して鑑賞したが、見事にその予測を外されてしまった。それも、良い意味で外された、という印象だ。人が成長していく過程を描く、人間ドラマであったのだ。

 主人公の主婦サラ(ケント・ウインスレット)と、不倫相手の主夫ブラッド(パトリック・ウイルソン)が、お互いに魅かれあうのは予想通りというか、お決まりのパターン。彼らが破滅的な愛に溺れるか、現実に気付き別れるのか、どちらかだろう、推測はつく。この後、2人の連れ合い(グレッグ・エデルマン、ジェニファー・コネリー)がストーリーにどう絡んでくるのか、どのように2人の関係に気付き、問い詰めるか、昼メロの世界が繰り広げられるか、と思ったら、やや肩透かし。実は、彼らよりも、ロリコン中年男のロニー(ジャッキー・アール・へイリー)と、彼を執拗に追いつめる元警官のラリー(ノア・エミリッヒ)の存在が鍵になってくるとは思いもつかなかった。確かに、映画の当初から妙に気になる存在ではあった。この作品が、素晴らしい人間ドラマになりえたのもの、この2人の登場人物のおかげかも知れない。

Littlechildren4  つまり、こうだ。
 ラリーは任務中に誤って少年を撃ってしまった。その後、PTSD(心的ストレス障害)になり、職を辞してしまうのだが、代わりの職が見つけられない。警官としての使命感だけを頼りに生きている。ゆえに、性犯罪者であるロニーを追いつめることで、アイデンティティーを保とうとする。ロニーは、年老いた母親に溺愛されたまま育ってしまった、まさに「大人になれなかった大人」。母親を強く愛し、精神は子どものままなので、恋愛感情は子どもに向く。ゆえに、少女を襲う性犯罪者となってしまった。2人とも、確かに病んでいる。しかし、そのままではいけないと感じている。が、一歩が踏み出せない。その2人を見る周囲の目が冷淡であり、彼らの成長への一歩を助けようとはしない。いや、しないというより「できない」のであろう。なぜなら、周囲の人たち(サラもブラッドも、その他のどの住民も)は皆、自分のことで精一杯なのだ。
 そして、壮絶なラスト。2人が現状を乗り越えようと挑戦する場面。ネタばれにならない程度に書くが、ラリーがロニーを救うために必死になる姿に涙が止まらなかった。彼が成長する兆しがみられ、希望の光が見えた。もう、サラとブラッドの話なんてどうでもよくなった。サブのストーリーのように見えたラリーとロニーの話の方が、ずしんと心に響いたのだ。

 タイトルLittle Childrenは、大人になり切れない大人というより、この世の人間はみんなまだ子どもだ、ということではないだろうか。成長過程の子ども。その証拠に、ラストで、サラもブラッドも一つの不満を乗り越え、そして何より、ラリーとロニーが大きく一歩を踏み出した。みんな「成長」していったのだ。

 最後に難点を一つ。それは、ナレーションが多すぎる点。特に前半。好意的に見れば、ストーリーを補強する上で必要であったのだろう。また、前半のストーリーにテンポがなかったので、ナレーションなしで進んだらもっと緩慢な印象になったかもしれない。そういう点では効果的ではあったのだが、登場人物の内面までナレーションで解説してしまうのはどうか、と思う。

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