ミス・ポター(Miss Potter)
レニー・ゼルウィガーのキュートな魅力が存分に発揮された映画だ。彼女が演じるビアトリクス・ポター役は、表面的には気が強く、信念を持った行動をとるが、内面は気弱で繊細な心を持つ女性だが、それを見事に演じている。レニーファンは大喜びすること間違いない。
何よりこの映画の魅力は、ビアトリクス・ポターがピーター・ラビットを描くのにインスパイアーされたイギリス湖水地方の暮らしと風景が、本当に魅力的に描かれているという点である。蒸気機関車が田園・湖岸を走る様子、幼少時代および大人になってからのポターが、湖岸を歩く様子や避暑地として過ごす家、遠景で映し出す風景、どれも美しい。映画の撮影地に行きたくなる映画の一つであることは間違いない。
また、これだけ自然の美しい映像を見せられたら、ポターがナショナル・トラストで自然保護の運動に力を入れているのも頷ける。自然保護運動に打ち込んでいく心情は、台詞ではそんなに多く表現されてはないが、映像でそれを上手く伝えていると思う。ポターの悲しみ・苦しみ・悩みそして喜び・情熱などが表される場面では、必ず湖水地方での暮らしの場面が思い出されるような映像が挿入される。監督クリス・ヌーナンは映画「ベイブ」で主人公の農夫に多くの台詞を語らせず、表情と情景で彼の性格を描き出した。今回もその手法をとっていると考えてよいのではないか。ヌーナンの真骨頂と言える。
また、話題になった、アニメーション合成映像は、期待したほど面白くも衝撃的でもない。むしろポターの伝記的映画に、空想的な雰囲気を醸し出すための1アイデア程度のものと考えた方がよさそうだ。そう意味では、ポターがピーター・ラビットを創作する心境を上手く表すための映像だと言える。
惜しむらくは、ユアン・マグレガーの存在感が薄かったことだろう。それは、ユアンの演技力のせいではなく、脚本・演出面での弱さと見た。2大トップスターを主演と助演に配した割には、ポターが恋心を寄せたユアン演じるノーマンの描き方があまりにも貧弱である。レニーファンは満足できる映画でも、ユアンファンには物足りないかもしれない。



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