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2008/04/21

大いなる陰謀(Lions For Lambs)

羊(のように臆病な司令官)に指揮されたライオン(のように勇敢な兵士)の部隊は怖くない

Lionsforlambs2
 首都ワシントンでの政治家とジャーナリスト、カリフォルニアでの大学教授と学生、この2つの討論と、その討論の元となっているアフガニスタンの戦場という3つの場面で構成された映画。トム・クルーズ、メリル・ストリープ、ロバート・レッドフォードという大スターの共演も話題。
  
 映画は正味90分ほど、そして映画の進行もほぼ同じくらいの時間経過、3つの場面が同時進行、とくればTVドラマ「24」の設定と同じ。違いは、メッセージと演出。

 この映画は、アメリカ現政権のアフガンやイラクにおける軍事行動に対する批判的メッセージであることは間違いない。それを、政治的だ、とか、民主党のプロパガンダだ、と批判するのは簡単だ。そういう側面があることは否定できない。ただ、それだからと言って映画製作者による問題提起から目を背けることは、無批判に現実を追認するだけになってしまうだろう。

Lionsforlambs3
 トム・クルーズ演じる保守党政治家は、戦いを始めたら負けてはいけない、強いアメリカでなくてはならない、という考え方の象徴。そして、アンドリュー・ガーフィールド演じる大学生は、政治に絶望し無関心を装いつつ現状の生活の中にだけ喜びを見いだすという考え方の象徴である。これが、おそらくアメリカの主流。
 それに対して、メリル・ストリープ演じるリベラル派のジャーナリストは、報道と収益(または経営)の狭間で苦しみながらも、真実を追究しよう、批判精神は持ち続けようと言うジャーナリスト魂の象徴。ロバート・レッドフォード演じる大学教授は、教え子を戦場に送ってしまった罪悪感と、学生に対する影響力の低下を嘆く、アカデミック界の象徴だろう。もちろん、製作者であるクルーズやレッドフォードはこちらの立場に自らを重ねていると見て間違いない。
 この2つの対立が、まさにアメリカ、いや日本においても日常的なものだ。そして、お互いの意見をこの映画のように、「さし」で討論することがなくなりつつある現状に警鐘を鳴らしているのだ。一切の演出やエンタテーメント性を排除し、ストレートに「討論」という形式で提示したのだ。

 原題の、Lions For Lambsは「羊によって率いられたライオンたち」で、第1次大戦にイギリス歩兵部隊を見殺しにしてしまったイギリス軍司令部について批評したドイツ軍人のことばから引用しているそうだ。曰く、「羊(のように臆病な司令官)に指揮されたライオン(のように勇敢な兵士)の部隊は怖くない。怖いのは、ライオン(のように賢い司令官)に指揮された羊(のように従順な兵士)の部隊だ」。力の無いものほど、臆病な者ほど、自分の力を誇示するものである。今や唯一の超大国となったアメリカ、その政権に対し容赦ない罵声を浴びせたと言っても過言ではない。よほど自分たちのポリシーに自信がなければこんな映画は作れない。その意気込みは、出演者たちの迫真の演技に現れている。恐ろしいほどの迫力だ。

 ただ、あまりにも一切の演出やエンタテーメント性を排除し、ストレートに表現したために、難解だ、面白くない、と批判されるのは目に見えている。対照的なのは、マイケル・ムーア。「華氏911」はドキュメンタリーの手法を用いた政権批判映画だと言えるが、単なる批判ではなく、それをクスっと笑わせるような、皮肉たっぷりの映像で表現した。
 ムーア監督ほど、キテレツにしなくてもよいが、志願兵としてアフガンに向かった大学教授の教え子2人のエピソードをもう少し掘り下げるなどすれば、ストーリーに深みができ、彼らへの感情移入がもっとできたのではないかと思うのだ。20分もあれば、そんな演出も出来たのではないだろうか。なぜなら、志願兵となった学生はアフリカ系とメキシコ系、まさにアメリカの底辺の象徴なのである。彼らの犠牲の上に今のアメリカの平和が守られているのだ。これほど象徴的な存在はないはずだ。だからこそ、もっとストーリーを加えて欲しかったのだ。

Lionsforlambs
 最後に、2つの討論の後の場面に注目してもらいたいと思う。 
 ストリープ演じるジャーナリストが、取材後に編集長に対して見せる情熱的な演技は圧巻である。ホワイトハウスと兵士の墓地をタクシーから眺める時の表情は、製作者たちの表情でもあろう。
 大学生と教授の討論のあと、テレビの芸能ニュースの画面で米軍のアフガン新作戦が行われたことをテロップで流す場面は、アメリカや日本を始めとした西側諸国の現状を如実に表している。そう、戦争はすでにニュースでしかなくなっているのである。大学生が見せる表情こそ、我々の表情なのだ。

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