マイ・ブルーベリー・ナイツ(My Blueberry Nights)
一瞬一瞬の映像を楽しむ映画・・・映像と音楽がマッチしたおしゃれな映画
ウォン・カーウァイ監督初の全編英語での映画。歌手ノラ・ジョーンズ初の主演映画。
ノラ以外は、ジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン、デビッド・ストラザーンといった芸達者の面々。ストーリーはどうでもいいので、俳優陣を見るために鑑賞した。

予想通り、ストーリーは男性の目から見ても、おそらく女性の目から見ても、現実離れというか、甘いというか、単純というか、コメントに窮するような内容。
でも、この映画の鑑賞の仕方は、内容ではなく、一瞬一瞬の映像を見るというのが正しいのだろう。映像主義とでも言えばいいのか、それともイメージ第一主義とでも言うのだろうか。例えば、
(1)夜、地上の高架を走る地下鉄が遠景で写される映像が早送り気味に流れる。都会の時間はすばやく過ぎる、人は忙しく動く、というイメージを一瞬で映し出してる。
(2)登場人物の心が微妙に動く場面では、映像がスロー(というかコマ送り気味)になる。何かに気付いた時、感じた時には、時間がゆっくり動いていると思いませんか?そんなイメージを一瞬で写している。
(3)そして、この映画を見た人なら必ずググッと心動かされるエンディングでのキスの場面。実は、2人は前に一度キスしているんですね。それはいつなのか、エンディングの時に気付くようにする仕掛け。見事! この部分を見るだけでも、この映画を見る価値あり。
(4)そして、それらの映像にかぶせて、ノラの歌声の楽曲(ノラの声ではない曲もあるが)が流れる。完璧。
それに、メンフィスで主人公が自分の名前を「ベリー」と名乗っているのがイイ。ブルーベリーのベリー。エリザベスなら普通ベスかリズ。ニューヨークのブルーベリーパイに心残りをしている、新しい自分を探す、という感じが出ていて、センスのよさを感じる。アリゾナでは「エリザベス」と名乗っているので、自分をしっかり見つめ直せて再出発できそうだ、ということなのだろう。
俳優陣は皆申し分ない演技を見せている。ジュードなら何を調理しても美味しそうだし、強気と弱気を見せるレイチェル、ナタリーの演技もいいし、映画初出演とは思えないノラの自然な演技。中でも、ストラザーンが、元妻のことが忘れられない警官の心の陰陽をうまく表現して演じている。もっとも、これだけの面々なら当然、ともいえるが。正直、ぜいたくすぎるのかもしれない。
ただ、そんなカーウァイ監督らしいイメージ第1主義的な映画なのに、せっかくニューヨークロケなのに、ニューヨークらしさは地下鉄の遠景程度なのはちょっと不満だ。ブロードウエイとかセントラルパークとかじゃなくてもいいから、さりげなくニューヨークらしさのある雑踏風景を見せてもよかったのじゃないかな。メンフィス、ネバダ、ベガスでも同様。(唯一、ラスベガスへの道路沿いの風景だけはそのイメージが良くでていた。)時間経過も、他だ単に画面で数字と文字(それなりにお洒落に表示してはいるが)は、イメージ第一主義からはかけ離れているように感じる。 最初は全編ニューヨークロケで取る筈だったが、予算の関係で他のシーンを入れた、らしい。私が感じた不満はそのせいだったのだろうか。




















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