ビューティフル・マインド(Beautiful Mind)
前半はサスペンス、後半はヒューマンドラマ
1本で2度美味しい映画

リドリー・スコット監督、ラッセルクロウ主演のこの映画、見所たっぷりの傑作。最初の1時間と、後半の1時間でストーリーの展開が全く異なる映画である。前半はサスペンスのような展開で進み、観客の関心をぐっと引きつけ、後半からは主人公の心の闇と、妻の壮絶な介護の様子が描かれ、ヒューマニズムあふれた展開となる。そのコントラストが映画によいアクセントをつけている。一つの映画で、サスペンスとヒューマンドラマを楽しめる作品となっている。アカデミー作品賞受賞も頷ける。
精神疾患を抱える天才数学者ジョン・ナッシュを演じるラッセル・クロウの演技は、精神科医から絶賛されたと聞く。台詞ではなく、表情や微妙な動きでうまく演じていると思う。妻役を演じたジェニファー・コネリーも、迫真の演技をみせている。特に、本気で主人公と向き合おうと決意した場面の表情は、オスカー受賞が頷ける程の見事な演技だ。
また、脇を固める俳優人では、国防省の上司役を演じたエド・ハリスが光る。脇に回ったときの彼の演技(「トゥルーマン・ショウ」、「巡り逢う時間たち」、「白いカラス」など)は、時には主役を食ってしまう程であるが、この映画でもその存在感を存分に見せている。彼の演技に、ある意味「騙されて」前半の1時間が過ぎてしまうと言っても過言ではない。
ラストシーンで、年老いた主人公が、授賞式の壇上で妻に感謝の言葉を述べる場面の演出は、これといった手の込んだ手法を一切用いず、実にシンプルな構成になっている。この演出により、観客の涙の量は減ったかもしれないが、この映画が実話に基づいて作られているということを強く印象づけ、映像にリアリティを持たせている。きっと、演出次第で大感動巨編となるところを、抑えめの演出にしたことで、この作品が傑作となったのではないだろうか。


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